広島県の「山の戸籍」づくりの事例をアップいたしました。
フィールドコーディネーター
・広島県林業改良普及協会
・三次地方森林組合
●どうやって「山の戸籍」づくりを進めたの?-こんな方法で呼びかけました
・どんな人を対象に?
広島県三次市内の旧町村(三若町・作木町・吉舎町)の、間伐などが遅れている森林を所有する不在村森林所を対象としました。
・どうやって所有者を探しだしたの?
GISシステム(森林簿データ)を活用し、各地区の地形・林相などを航空写真(デジタルオルソ)を見て選定していきました。

航空写真
抽出した森林簿データを基に、地域森林所有者からの聞き取りなどを行い、大まかに地域の森林に対する意識を読み取り、同時に地区全体の交渉窓口(地域の調整をしてくれそうな人)を探しました。
最初は、住宅地図や資料を基に公道沿いに車を走らせ、それによって目視できる範囲の林相や地形を確認し、該当する森林所有者の目安が概ね付き、面識がある人など話し易い人に関しては、直接聞き取りを行いました。
今回は、調査エリアに多くの森林を所有しており、退職後三次市吉舎町へ帰ってくる予定不在村者のSさんと連絡を取ることができ、地域の世話役も自ら率先して引き受けてもらえることができました。
また、公図や地番、所有者の確認について、法務局での調査が必要ですが、この事業区域に関しては、森林所有者の同意が得られていたため、自治体から公図などの資料提供を受けることができました。また、納税表コピーなども正確な調査票作成に役立ちました。
・こんな方法で呼びかけました
森林組合や、世話役のSさんが、関係森林所有者に事業参加の働きかけをし、地区座談会を開催しました。座談会に欠席の所有者には、各隣接者から個々に連絡をとってもらうほか、三次地方森林組合から電話、郵送で連絡を取ることとしました。

地区座談会開催風景
●「山の戸籍」づくりで工夫したことは?
座談会を開催する上でポイントだと感じたのは、地域や世話役・代表者に、できるだけ主体的に事を進めてもらえるようにしていくことです。
今回の三次市吉舎町地区での座談会では、世話役のSさんをはじめ、「境界確定や森林の手入れに関する意識(危機感)が非常に高い地域」であったため、段取り(時間・場所・周知)をすべて地域で行うことができました。
このことにより、次の段階である立会の日程調整についてもスムーズな進行となりました。

現地境界立合
また、立会調査では、森林所有者が大きく勘違いしていることもあるので、事前に現地森林を踏査しておき、ある程度のエリア(字単位や大きな地形変化部分など)について把握しておくことが必要であると感じました。
●所有者さんの反応は?
- 自分の所有する人工林・天然林を問わず、森林の荒廃や境界情報の保全、また後継者にその情 報をどのように引き継いでいけばよいのか。
- この調査事業が終了した後、次の段階で今回の事業区域を中心に山林地番の集約を行い、間伐施業を中心とした試みができないか。
- 今回の事業に関して負担無く境界が明確になることは、地域のためにも良い事だと思うので全面的に協力したい。所有林のうち、天然林は松枯れで人工林は間伐の遅れから風害などで荒廃している所が随分有るように思うので、境界だけでなく資源の把握もしっかり行い後の森林経営につなげて行きたい。
- 自分の山林境界についてはよく把握しているつもりだが、隣接者と認識の相違を感じる部分もあるのでこの際はっきりしたい。
- 山林境界については、分かっているが、今回、在村者を含めた隣接者と立会ができたらよいと思う。
- 父親が最近他界し、父の生前、山林境界については大まかには説明を受けているが、この事業でさらに明確にすると共に森林組合さんに山林にかかわるアドバイスを受けたい。
●「山の戸籍」づくりで還元したデータの詳細
事業で得られた森林所有者への還元データを下記の様式で還元しました。
- フィールド管理簿:今回の調査の規定の様式です。
- 樹種配置図、境界調査図:今回の調査区域内において、森林所有者がお互いに隣接関係を一枚の図面で把握できるような図面を作ってほしいとの要望があり、それに応えたものです。
- 測量野帳、測量データリスト:各地番と林相毎のデータで、GPS測量により観測した境界座標を表示し、座標法により面積を算出しているほか、杭種欄には現地に設置している杭の種類を表示しています。
- 測量実測図:測量野帳・測量データリストを図化したものです。











