三重県の「山の戸籍」づくりの事例をアップしました。
フィールドコーディネーター
・三重県林業技術普及協会
・松阪飯南森林組合
●どうやって「山の戸籍」づくりを進めたの?-こんな方法で呼びかけました
・どんな人を対象に?
三重県松阪市飯高町地内の森林を対象として個人(含む共有)が所有し、現在管理手遅れの森林等で原則として飯高町以外に在住するいわゆる不在村森林所有者を対象としました。
・どんな場所が対象に?
ア)今後、森林整備を進めていくうえで、飯高町の中でも今後集約化施業を実施していくのに手遅れ林分及び境界の不明確地が多い流域を選定。フィールド選定要件として、個人が所有する森林で、管理手遅れ森林かつ原則として不在村(飯高町以外在住)の所有森林で1カ所おおむね1ha以上の森林。
イ)森林組合員、森林組合職員及び地域の森林精通者等に森林現況、施業履歴などの聞き取り等により候補地として54カ所を選定。森林GISデータから54カ所の林小班を抽出して位置図を作成。
なお、候補地の選定にあたっては、下記の項目を重点に置いて選定しました。
○施業の集約化・団地化を進めていく地域、流域に属する林小班
○林道から離れていて、施業履歴のない森林
○4~9令級程度の林分で緊急に手入れが必要な森林
○搬出可能な流域で、将来素材生産が見込まれる森林
○各種公的な森林整備事業と一体的に施業を行える森林

森林GISによる候補地の抽出

航空写真との合成表示により現地の状況確認
・どうやって所有者を探しだしたの?
抽出した森林簿データを基に地域森林所有者からの聞き取りを行い、所有者の特定できるカ所を選定しました。所有者は、抽出したデータを参考に、土地課税台帳の閲覧、地権者への確認、森林組合職員への聞き取り、該当地域の精通者や周辺の森林所有者等に聞き取り調査を行い、森林組合に残っている過去の記録などから所有者を探しました。連絡先の確認については、組合員名簿等をもとに確認していきました。
・こんな方法で呼びかけました
不在村森林所有者に対して、山の戸籍づくりを進めるための協力依頼、所有森林・森林管理等の状況、事業説明会の出席意向などを把握するため下記のアンケート調査を実施しました。
・アンケート調査結果(15名から回答)
問1 所有する森林面積について
ア 5ha未満 ・・・・・・ 2名
イ 5ha以上10ha未満 ・・・・・・ 2名
ウ 10ha以上20ha未満 ・・・・・・ 2名
エ 20ha以上50ha未満 ・・・・・・ 3名
オ 50ha以上100ha未満 ・・・・・・ 3名
カ 100ha以上 ・・・・・・ 2名
問2 森林の境界について
ア ほとんど把握している・・・・・・ 8名
イ 一部把握している ・・・・・・ 6名
ウ わからない ・・・・・・ 1名
問3 所有する森林の見回りについて
ア よくする・・・・・・ 0名
イ たまにする ・・・・・・11名
ウ ほとんどしない・・・・・・ 4名
問4 所有森林の状況(樹種、林令、面積などの)把握について
ア ほとんど把握している・・・・・・ 5名
イ 一部把握している ・・・・・・ 9名
ウ わからない ・・・・・・ 1名
問5 最近3年以内の伐採(主伐)の有無
ア 伐採は行っていない・・・・・・14名
イ 伐採は行った・・・・・・ 1名
問5-1 伐採後の植栽の有無について
ア 伐採後植栽は行った・・・・・・ 0名
イ 伐採後植栽は行っていない・・・・・・ 1名
問5-2 植栽を行わなかった理由について
ア 林業は採算が合わないから・・・・・・ 1名
イ 補助金をもらっても自己資金が必要だから・・・ 2名
ウ 山の経営に意欲が持てないから ・・・・・・ 0名
問6 最近3年以内の森林の手入れの実施の有無
ア 手入れを行った・・・・・・ 6名
イ 手入れを行っていない・・・・・・ 9名
問6-1 手入れの内容について
ア 下刈りについて・・・・・・ 0名
イ 除伐 ・・・・・・ 2名
ウ 枝打ち・・・・・・ 2名
エ 間伐 ・・・・・・ 6名
問6-2 手入れを行っていない理由について
ア 林業は採算が合わないから・・・・・・ 2名
イ 自己資金が必要だから・・・・・・ 4名
ウ 手入れの対象森林がないから・・・・・・ 0名
オ 山の経営に意欲が持てないから ・・・・・・ 0名
カ その他(もう必要がないから、補助金の問題)・・・ 2名
問7 これからの森林の手入れ(管理)について
ア 今までどおり手入れを行っていく・・・・・・ 6名
イ 必要であれば手入れをしたい・・・・・・ 8名
ウ 手入れをしたいが相談先などが分からない・・・ 0名
エ 今後とも手入れはしない ・・・・・・ 1名
問8 手入れの方法について
ア 手入れは自分でする・・・・・・ 2名
イ 森林組合等に委ねる・・・・・・14名
ウ その他(条件により)・・・・・・ 1名
問9 もし手入れをするには何が必要ですか
ア 木材価格の上昇・・・・・・ 2名
イ 全額補助制度(自己資金なし) ・・・・・・ 2名
ウ その他(作業労力の提供)・・・・・・ 1名
問10 所有森林をボランティア活動の場としての提供の有無
ア 提供する・・・・・・ 5名
イ 提供しない ・・・・・・ 7名
ウ わからない ・・・・・・ 2名
問11 所有森林を手放す意向の有無
ア ある ・・・・・・ 5名
イ ない ・・・・・・ 9名
ウ わからない ・・・・・・ 1名
問12 山の戸籍づくり説明会・森林講座の参加の有無
ア 参加する・・・・・・ 9名
イ 参加しない ・・・・・・ 2名
ウ わからない ・・・・・・ 4名
問13 説明会・森林講座の開催希望曜日等
ア 平日の昼間 ・・・・・・ 5名
イ 平日の夜間 ・・・・・・ 1名
ウ 土日の昼間 ・・・・・・ 1名
エ 土日の夜間 ・・・・・・ 0名
オ 特に希望なし・・・・・・ 4名
問14 山の戸籍づくりの希望の有無
ア 希望する・・・・・・ 5名
イ 希望しない ・・・・・・ 0名
ウ わからない ・・・・・・ 0名
(意見等)
・木材市況の低迷から赤字で苦しい、補助金、作業員の提供があれば森林整備は進めたい。
・森林組合の世話がなければ手入れせず放置するしかない。
・森林の管理等に関心を引き寄せるには先祖が住んだ郷里の山川、人々の親しみを深めることが大切です交流の場、体験の場づくり、郷里の魅力のPRをお願いします。など
●所有者さんの反応は?
対象森林の現状と所有者さんの思いを紹介しましょう。
・木材価格の長期低迷により、財産としての価値を見いだせなくなった若い後継者は、積極的に森林整備をしようとする意志が見受けられなかった。
・平均急峻な地形が多いため、初回から2回目間伐以降の手入れが全然行われていず林内が暗く災害の危険性のある森林も見受けられた。
・森林整備の必要性は感じているが、「自己負担を出してまでは森林整備をする気持ちはない」などの意見が多い。
・条件的には良い森林だが手入れが遅れているため、生育状態が良くない森林が目立つ。
・森林所有者の意向は、森林整備の必要性は感じているが、ボランティア活動による整備に対してはあまりいい返事は得られず、森林組合による自己負担なしの事業での整備を期待している所有者が多い。
・自分及び子どもでは今後施業はともかく、管理自体も出来ない状況なので出来れば継続的に森林組合に管理委託を出来ればと思っている。
・今まで所有森林に余り関心を持っていなかったが、今後はこれを契機に時々見回り森林組合に相談して自己負担なしの事業などで手入れをしていきたい 。
・森林整備は是非やってほしいが、ボランティアによる整備には不安がある。
・この場所は境界が明確化してもらって良かったが、他の森林についても行政がもっと積極的に今回のような取り組みを実施してほしい。
・森林組合による指導や森林整備が活発に行われているので、自己負担なしなら森林整備は森林組合に任せたいという声が多かった。
・森林整備の手遅れは自覚しており、必要ならボランティアによる森林整備を受け入れても良い。しかし、方法については所有者の意向と専門家である森林組合のアドバイスを受けながら実施してほしい。
・ボランティア活動のフィールドとして活用しても良いが、事故が起きた時の対応がどうなるのか心配もあるため、三重県・松阪市・森林組合などの仲介で責任体制がはっきりしていれば協力は出来る。











